Challenge 2
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ホゾについて 54 2003.4.26記
前項で書きました、白点線のような蟻形は開放ではありますが、組み立て
自体は普通の平ホゾと同じ挿し込みになりますので、組み立て後に組み付
ける仕様にはなりません。そこで二段目の図の空点線のように(ここも寸法
的に図は少し変ですが)蟻形に加工してやれば、普通の相欠き接ぎのよう
に黄矢印方向からの嵌め合わせになります。黄色矢印方向から嵌め合わ
せたところを見るとその下の図になります。
蟻形接合ですから当然茶矢印方向に対しては抜けませんから、引き出しの
仕切り板(束)などにも有効ですし、こちらは黄色矢印方向から差し込みま
すので、本体組み立て後に組み付ける仕様も可能です。これなどは先の普
通の相欠きと併用すれば、本体組み立て後に引き出し関係の部材を組み
付ける仕様にすることができます。
とにかくこの蟻形相欠き接ぎは、茶矢印方向に対して物理的に抜けない形
であることが一番の利点ですし、尚且つ後から組み付けることができますの
で、箱物家具では有用です。また加工においても上図の蟻挿しに比べれば
随分楽に加工できますので、利用しやすいでしょう。
実際の木取りでは軟材の場合、相欠きで蟻の部分が薄くなりますし、蟻の
鋭角部分即ち紫丸部分が欠け易くなりますので、木の伸縮から行けば変化
の少ない柾目にしておきたいところですが、こうしたところは強度を優先して
板目で取るようにしたほうが良いでしょう。勿論ここでも灰矢印寸法は少し長
めに加工して組み付け後に面一に仕上げます。またこの蟻形相欠き接ぎも、
青矢印の部分に木ネジや込み栓を併用するこ
ともできますし、桃点線のよう
に止めにすることができます。また少し簡略化して赤点線のように片側は蟻
を省いて片蟻形としても良いでしょう。
後一つ蟻形を利用した方法は下の図の緑点線のように切り欠き側は底部分
の先側を深くなるようにテーパーを付けて加工し、ホゾ側はホゾ先が厚くなる
ように逆テーパーを付けて加工します。(ここも寸法的に図は少し変ですが)
こうすることで組み上げた時には蟻が利きますので、紺矢印方向に対して抜
けにくくなります。他のことについては同様に木ネジや込み栓の併用や通しで
はなく止めにすることができます。
このように蟻形(逆テーパー)は色々な向き、位置で使うことができますし、家
具作りにおいては有効な働きをしてくれますので、テーパーと合わせてその特
徴を良く理解して活用
してください。
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