Challenge 2
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ホゾについて 41 2003.4.13記
軌道修正しまして、接着剤だけを考えれば木工ボンドは水溶性ですから、極
端に水で薄めることを考えれば、なるべく粘度の高い状態で使えば、接着力
自体は大きいはずですが、下図の雇いざね接ぎのような場合に粘度の高い
状態では、雇いざねが入らなくなったり接ぎ板同士が密着できないことも起き
てきますので、こうした接合では接着剤を多少緩めの状態にしておけば、接
着剤は満遍なく行き渡りやすくなり、余分な接着剤もあふれ出しやすくなります。
接着剤の接着力自体は確かに落ちると思いますが、こうした面接合では接着
力自体が多少落ちても、全体が満遍なく密着して全体で接着力を出す状態に
することが重要ではないかと思います。
ただこれも接着剤はなるべく粘度の高い状態でうまく接合できるように、嵌め
合いを調節していくこともできますので、正解不正解はありませんが、粘度に
合った最適な嵌めあい具合があることは確かでしょう。
一方一般的な平ホゾなどではホゾ穴は角ノミでの加工が普通ですから、ホゾ
穴加工の面は荒れますのでホゾとホゾ穴の面接触は、雇いざね接ぎなどの場
合に比べて随分密着状態は悪くなりますので、密着の悪い部分になるべく接
着剤を充填するような状態にすることが自然ではないかと思いますが、そうし
た場合は粘度を低くして接着力の落ちたものよりも、粘度
の高い接着力の高
い状態のものが適しているでしょう。
接着力強いものを追求することも必要ですから否定するわけではありません
が、こうしたことに対する配慮も大切なことではないかと思いますし、一般的な
木工ボンドであっても状況、仕様に合わせてうまく使いこなしていけば、これ一
つでそこそこ対処できるのではないかと思います。
話を元に戻しまして、何度も書いているかもしれませんが、ホゾの凹凸は基
本的に当然凹(ホゾ穴)から先に加工して、それに合わせて凸(ホゾ)を加工
しますので、この場合で行けば緑矢印の寸法を後で決めることになります。
この手のホゾでは嵌め合い寸法が、普通の平ホゾなどより一桁小さいですか
ら微妙になりますが、緑矢印の部材寸法が大きくなりますと木の伸縮が問題
になってきます。
青矢印の接合面は形こそ違いますが、平ホゾでいえば胴付き面に相当する
分けですから、どんな状態でも空かないように組み上げておく必要が有ります
ので、仮に非常に湿度の高い状態のときに緑矢印寸法を決めた場合には、
非常に乾燥した状態で青矢印部分の接合面が空いてきてしまう可能性があ
ります。また空かないにしても嵌め合いが緩く(弱く)なってしまいますので、そ
うした配慮が必要になります。
また非常に乾燥した状態で緑矢印寸法を決めた場合に組まずにそのまま置
いておき、非常に湿度の高い状態で組み上げようとした場合には、嵌め合い
が
きつくなり組めなくなってしまう可能性も有りますので、なるべく乾燥した状態
で緑矢印寸法を決めて直に組み立ててしまうのがベストです。
そんなことで木の性質を思い出していただいて他に制約がなければ、緑矢印
の面に柾目を持ってくれば木の伸縮が少ないですから、不都合が出にくい事
になりますが、他との関係でそうも行かないことも多く有りますので、どちらに
しましてもこの手の嵌め合いは非常に微妙ですから、湿度の高い季節は注意
が必要です。
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