Challenge 2
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構造について 97 2005.2.27記
前項の続きになりますが、
テープにしろロープにしろ折り返しをして編んだ
場合に裏側は丸見えになりますので、見栄えが悪くなるのは当然としても、
悪いなりになるべく綺麗に収まるように工夫します。また基本的に折り返し
は片締めになりますので、部材とホゾ部分には図の青矢印のように捩じる
変動負荷が掛かり続けることになりますので、こうした部分に対する力の
掛かり方を良く考えて対処しておく必要があります。
これも単純には緑矢印寸法を大きくしておく方向になると思いますが、
特
にホゾ部分の捩じれについては軟材では結構厳しいことになりますので、
部材形状、寸法や寸法比、ホゾ仕様を捩じれに対して特に強くなるように
考えます。
ここでまた別の観点から一つ書いておきますと、座面は最終的にはかなり
たわんでくることになります。カナコ編みは基本的に一面で支えるものです
から、先に書いたように裏面は折り返して省略する発想が出てくることにな
りますが、仮に緑矢印寸法を非常に小さくできたとしますと、裏面も折り返
さずにロープを渡しておけば、編まないにしても面ができますので、表の座
面が緩んでたわんで来た時には、裏面でも荷重を受けてくれることになりま
すので好都合です。
これは下の写真のようなロープ巻きのイスでは、横編みがないのでロープ
が非常にたわみますから、緑矢印寸法に相当するロープをかけるフレーム
寸法を小さくできれば、当然荷重を支えるロープ量は倍になりますので、こ
れまた非常に好都合です。
こうしたことから編み込みフレームにスチールを取り入れたり(補強も含め
て)、スチール構成のイスで編んだ椅子を考えていきますと、木ではできな
いスチールならではの、編み込みに向いた仕様が可能になりますので、編
みの良さを生かした結構素晴らしい椅子が出来るような気がしますが、スチ
ール関係に強い方は挑戦してみる価値はあるかもしれません。
少し話が後先になりますが、とにかく裏面を省略した場合は片締めになりま
すので、私の場合は基本的に一人掛けの座面では裏面も折り返さずに編ん
で(表のようには編みませんが)、捩じれる力が掛かりにくい方法を最優先し
て選択していますが、二人掛け以上になりますと部材寸法をが大きくなり、
強度を稼ぎやすくなりますし、節約できるロープ量も馬鹿になりませんので、
可能な限り裏面は省略する方向で考えていくことが多くなります。ただ当然
裏面も折り返さずに編んだ(表のようには編みませんが)場合には、折り返
した場合に比べて座面が緩みやすくなる傾向にあることは致し方のないとこ
ろです。
こうしたことも正解はありませんので、自分なりに総合的に考えて納得のいく
方法が一番です。
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