Challenge 2
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構造について 93 2005.2.19記
前項の続きになりますが、
ベンチになりますと二人掛けですから、座枠の
上下方向へのたわみも大きくなりますし、当然ホゾ部分においても上下方
向にホゾを抜く力が掛かりますので、この耐加重についても良く考えてい
かなければなりませんが、これについても一番単純には灰矢印寸法を大
きくしていくことになりますので、この構造、仕様である限りはこの場合の
黄色矢印寸法と灰矢印寸法の適度なバランスがあるはずですから、自分
なりに考えていくことになります。
外観的なことは別にして、座ることにおいてはやはり黄色矢印寸法が問題
になりますが、前に編むイスのことで書いていますように、紫矢印の部分が
太股裏に当たりやすくなりますので、座ることからいけば作ることと相反し
て黄色矢印寸法はなるべく小さくしておきたくなりますが、これについても
前に書きました編むイスの場合と同じ発想になりますが、水点線のように
予め赤点線のような湾曲を想定してテーパーカットしておけば、実質的な
白矢印寸法のロープの弾力が効く範囲を稼ぐことができます。
下の写真のベンチの前座枠と上背枠はこの方法で対処したものですが、
写真を良く見比べていただけば、そんなところが見て取れるのではないか
と思います。
初めに書きましたように、これはロープ巻きでこのフレーム仕様における限
定した例ですが、当然上二つの写真の編み方でもベンチタイプのイスを編
むことはできます。こちらは編んでしまいますから面が透けて見えませんの
で、構造から工夫して緑点線のように貫で補強してしまうのが自然で無理
がないでしょう。特にカナコ編みでは黄色矢印寸法を小さくして、灰矢印寸
法を自由に大きくすることが
出来ますので対処しやすいタイプです。ただこ
れも座枠にロープを巻いて見栄掛りは埋め尽くしますので、貫の入れ方な
り編み込み処理にそれなりの工夫が必要です。
一方上の左写真の編み方では、灰矢印寸法はなるべく小さくする必要が有
りますので、先のロープ巻きのベンチと同じよう抜きが入れにくくなります。
またロープ巻きのベンチでは後ろの座枠は、いくらでも自由に部材寸法を変
えても(背座共有の巻き方のためですが)座面仕様に影響しませんが、この
場合は基本的に面を単独で編みますから、前座枠と同じように後座枠も灰
矢印相当の寸法を小さくしておく必要が有りますので、前後の座枠共に水点
線のように対処するか、根本的に座枠(フレーム)構造を考え直す必要があ
ります。
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