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<< 前へ 次へ >> 構造について 82 2005.1.28記 上右の写真のイスを例にして後少し話を続けますが、このイスでは脚(柱)座面、アームは片持ち式ですから、構造上脚は強度確保のために太く(前
 後方向)なりますので、上端の背板側ではどうしても寸法を絞りますので、
 テーパーがきつくなりやすくなってしまいます。
 左図はこのイスを横から見た形を超簡単に表わしたところですが、こうした
 背の編み込みで三次元曲面を大きく出そうとしますと、当然背板側(上下
 の巻き枠)は湾曲させますが、両脚の背部分(左右の巻き枠)も図の点線
 のように湾曲させて、四辺の巻き枠を全て湾曲させることになります。
 こうすることで部材の歩留まりや加工の手間がかかることになりますし、編
 み込みにおいてもそれ用の冶具が必要になってきて(冶具がなくても編む
 ことは可能ですが)編みにくくなります。
 これには多少の見た目的な要素もありますし、こうした構造、仕様にするこ
 とによる手間とその得られる効果のバランスは、こうした場合に限らずなか
 なか判断が難しいところですが、こんなところも人それぞれの考え方が反映
 されて、家具を作る人の個性が現れてきたりしますので面白いところです。
 
 また話が横道にそれていきそうなので戻して話を続けますが、この両脚の
 背部分(左右の巻き枠)の編み込み部分を挟む両端の編み込み角度は、
 このイスの構造上側座枠を脚に差し込む角度、即ち青矢印の角度で決ま
 ってしまいます。
 この時に編み込みを挟む緑線矢印の半対面は、青矢印と平行にしておきま
 すので、先に書きましたように三次元曲面を大きく出そうとした時には、背側
 を点線のように湾曲させることになりますので、この場合には右の図のよう
 な背上部
(左右の巻き枠)に対する編み込み角度がググッと大きくなって
ま
 すので、
先に挙げているこの巻き枠に対してのおおよその最大値15度をき
 目安に、あ
まり大きくならないようにまとめていく必要があります。
 ただこれもこのイスの構造、編み方から来る制約ですから、背側だけを単独で編み込む場合は編み込み角度を調整しやすくなりますので、目指して
 いるイスの仕様との折り合いうまくを付けながら、構造も含めて考えていくこ
 とにな
ります。下の写真は背座を連続ではなく分けて編んでいますので、背
 側は角度を付けずに編む仕様にすることが出来ます。(厳密には木取りした
 部材に対してで、このイスでは後の加工である程度の角度は付いてしまいま
 す。)ただこのイスはアーム
無しですから、アームを付ける場合はアーム仕様
 により少し前の項で書いて
いるようなことを考えていく必要があります。
 再三書いていますように、イスは特にこうした色々な要素が関連し有ってきま
 すので、いかにうまくまとめ上げていくかが思案のしどころになります。
 例えば上右の写真のイスで、イスを使っている間に編み込みにおいて、見栄
 え的に一番不都合が出て来易い所を、今まで書いてきたことからシミュレーシ
 ョンしてみてください。
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