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Challenge 2
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ホゾについて 5 2003.1.7記
前に木端の接着剤のみによる接合について書きましたが、他の木端
の接合について書いていきます。
接着剤だけの芋接ぎでは接合が弱いので接合面積を増やすため木
端に加工を施しますが、基本的にはそれぞれの木端に凹凸を作りは
め合わせて接着接合します。
上図のように接合する両木端面に溝を掘り、その溝にすっぽり入る
角材(雇いざね)を作ります。後は接着剤を塗布してクランプなどで
圧着します。これは無垢の板の接合に良く用いられる代表的な物で、
雇いざね接ぎと言います。こうした言葉の表現は、雇い核であったり
接ぎは継ぎや矧で有ったりします。使い分けについては詳しく分かり
ませんので参考程度で見ておいてください。これは非常に応用範囲
の広い実用的な方法で、Challenge
の「雇ざね接ぎについて 」に少し
詳しく書いてありますので参照してく
ださい。
また、写真のものは高さの低い一番単純な天モールで、張り出しが
大きいので留め部分に雇ざねを入れた所です。
二番目の図は片側は雇いざね接ぎと同じように溝を掘りますが、もう
片方は雇いざねをはめ込んだ形の凸に加工したもので、精度良く加
工する事は見た目以上に難しく手の込んだ接ぎで、本ざね接ぎと言い
ます。こうした加工用に凹凸でセットになったルータービットなども出て
います。上図との比較からも分かると思いますが、凸分を差し込みま
すので、その分幅広の板が必要になりますので、歩留まりは悪くなり
ます。
三番目の図は片側を山形の凸に加工し、もう片方は谷方の凹に加工
しますが、矢筈接ぎとかひぶくら接ぎと言われています。これも単純な
形状ですが、精度良く加工する事はなかなか難し
いものがあります。
ルーターでの加工が一番適しているでしょう。ビット
のことを考えまして
も、どちらかと言えば小物向きのように感じます。
写真は契りによる接ぎですが、接ぎ合わせ面を中心にして直角に鼓形
の契りを埋め込んで接いだものです。契りの形自体は鉄アレイのよう
な形や色々なものが有りますが、どちらかと言えばこの契りだけで接ぐ
のではなく、他の接ぎの補強的な使い方が主になります。また板のヒビ
や割れ部分の補強などにも良く使われますし、意匠的な意味合いもか
なり大きいでしょう。写真は接ぎ合わせでは有りますが、接ぎ面は少し
空けて接いでいるものです。この鼓形の契りでは絞る角度(テーパー)
を大きくしますと、契りの鋭角部分が欠けやすくなりますし、掘り込みも
加工しづらくなります。また見栄え的にもバランスが悪くなるように感じ
ます。
私見としては、とにかく非常にインパクトのあるものですから、あまり多
用しすぎますとくどくイヤミな感じになるように思いますので、必要最小
限にとどめておくことで、逆に引き立つのではないかと思います。
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