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ホゾについて 6 2001.11.6記
実際のホゾ組み立てについて、少し細かい事を書いていきます。
ホゾのはめ合いの調整具合については、「ホゾについて 4」で書きました
が、通しホゾの場合、厚さ方向において多少隙間が有りましてもクサビを
打つ事により膨張してきますので、仕上がりは割りとピッタリいきます。
また板厚が薄めの部材に複数枚ホゾなどを組む場合、膨張が大きくなり
ますので、図の赤矢印の所の部材の両外に当て板をしてFクランプで締
めたほうが良い場合も出てきます。特にイスなどでは接合強度も大きくな
りますので好都合です。
また通しホゾにおいて、ホゾ穴よりどの程度長くして作るかについては、
色々な意見があるようですが、私の経験では1ミリ程度ホゾが飛び出した
状態でクサビを打つのが一番調子が良いです。2〜3ミリ飛び出した状態
では図の白丸部分の角が邪魔をして、クサビが入りにくくなります。
また2〜3ミリ飛び出した状態で、入り面を取ってあるホゾを1ミリに切り落
とすのは難しいので、結果的に5〜10ミリ長くと言うことになります。
この時に使うノコは、両刃ノコでは部材に傷を付ける可能性が大きいので
片刃を使います。またノコ刃に接着剤が付きますので、替刃式の背金の
無い物をホゾ切、ダボ切専用に一つそろえると便利です。
クサビを打つ所は、昔から言われている
様に1/3程度の所で良いと思いま
す。またホゾを強固にしたいときや、ホゾが長くなりクサビを二本打ち込
む時は1/4程度の所打ち込みます。さらにホゾが長くなり、たとえばイージ
ーロッカーのロッカーと支柱では三本打ち込んで有りますが、この時は、
真ん中に一本、1/10程度の所に二本打ち込みます。
図の白丸の所のクサビを打ち込む案内溝は、部材の段階で昇降版、バン
ドソー、縦挽きノコ、で切り込むか、ホゾを差込み余分なホゾを切り取った
後でノミ加工するかになります。切り込を入れておけば組立作業は手早く
でき楽になりますが、私の場合はあえてノミを使っています。
これはノミがクサビの形に一番近い溝が出来るためです。また切込みを入
れた物は、クサビを打ち込むための、ホゾの割れ初めがどうしても奥になり
ますので、それを避けたい意味も有りノミを使っています。当然組み立ては
忙しくなります。
この辺りは各自の考えと、作業状況により選択してください。
ノミを使うのであれば、ノミは接着剤が付きますので、一番安物を専用に用
意しておくのも良いと思います。
または角ノミ巾の鉄片をグラインダーなどで削り、右図左の様にハタガネの
ような専用工具として作っておくのも便利です。この時に刃先は両刃(左右
対称)に加工しておけば、クサビを溝に当てたときに垂直に立ちますので打
ち込みやすくなります。ノミは刃先が右図右の様に片刃ですから打ち込む時
に気を使います。
普通は通しホゾでクサビを打てばかなり強固なホゾ組みになりますが、ホゾ
の抜けに対して、更に強くしたい時には、ホゾを利かせるホゾ穴の両側を図
の青矢印の様にノミで0.5〜1.5ミリ、深さは板厚の半分程度落とし先広にし
ます。後は普通より外側の1/10以上外に、二本クサビを打ちます。
通常はここまでやる必要はまったく有りませんが、一つの方法として参考に
して下さい。
クサビをワンポイントのアクセントとして色違いの木を使ったりする事も有り
ますが、通しホゾや契りはそのままでもインパクトが有ります。特にちぎりは
強烈なインパクトの有る工法です。これを更に強調するのは、どうもこれ見
よがしで嫌みに感じるのですがどうでしょうか?
これも好みの問題ですが、このあたりは控えめに、控えめに、でちょうど好
い加減だと思うのですが?
クサビは端材で作りますが、木取りはホゾ巾と同じ板厚の柾目板を用意し
ます。それを黄矢印の様に30〜35ミリに切断します。次にそれを緑矢印の
様に5ミリ程にノミで叩き割り、後はノミでクサビ形に削り、最後に右図の様
に先の耳を落としてクサビの完成です。なかなか面倒な作業ですが、根気
良く丁寧に作ってください。
柾目板を木取る事で、最終的にクサビは右図の様に板目になります。こう
することで、叩き込む時にクサビが割れにくくなりますし、膨張、収縮の少
ない柾目がホゾを利かせる側にきますので理想的です。
ホゾ穴の接着剤の塗布は、150ミリのミニスケールがなかなか調子が良い
です。大小の筆と併用して適材適所で使います。胴付きも忘れずに塗布し
てください。
後はホゾを差し込み、はみ出した接着剤を綺麗にふき取り、飛び出したホ
ゾを1ミリほど残して切り取り、ノミでクサビを打ち込む案内溝を付けクラン
プで締め付け、最後にクサビを打ち込みます。クランプは外さずに、出来れ
ば最低2時間はそのままにしておきたいところです。
次にホゾの仕上げをして行きます。
まず余分なクサビを切り取り、小カンナで飛び出したホゾを削り、最後にノミで引き切るように削り終了です。
小カンナで削る時に、水を付ければ削りやすくなりますが、水を含んだままでは良く切れる刃でも面が粗く成
ります。木口は非常に吸収が良いのでくれぐれも付け過ぎない様に控えめにしてください。私は「カンナにつ
いて」で書きましたスプレーなどで軽く吹き付けています。またトリマーなどで治具を作り削り取る場合でも、
そのままでは面が粗いので、最後はノミで削り取るかペーパーをかける様にしてください。
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