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椅子について 23 2006.8.24追記
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さて、ここでペーパーコードが緩んできた場合のことを考えてみますが、左図
の茶線は編み上がったばかりの座面、橙線は笠木を表しています。先に書い
ていますように、この状態では座ることで多少座面がたわんだにしろ張りがあ
りますので、お尻の位置は自分の思い通りの位置に据え置くことが出来ます。
次に椅子を長い間使うことで座面は緩くなり、座った時には茶点線のように大
きくたわんでしまうことになり、座れば当然お尻の位置は青矢印の真ん中辺り
の、一番深く沈む所に自然と収まりやすくなってしまいます。即ち、なるべく腰
を深く引いて座ろうとしても、お尻は青矢印の方へ段々滑っていってしまいま
すので、背座の関係が当初の設計意図とは変わってきますし、限定されて自
分の好みに微調整しにくくなってしまいます。
こうした椅子の仕様では先に書きましたように、わりと腰を引いて座りますし、
姿勢の好みや体形の違いで人により快適と思えるお尻の位置が違いますし、
事務や食事などに対応した姿勢によりお尻の位置は微妙に変わりますから、
色々な条件状態においてお尻の位置の微調整が必要になりますので、お尻
の位置が自分に意思に反して決められてしまうことは、好ましい状態ではない
でしょう。総じて面が緩んできますと、背座の角度が大きくなった仕様の椅子
となってきます。要するに、当初椅子として意図した姿勢よりも上半身が後傾
した姿勢で座ることになります。またこの時に、座面が沈み込んだ分笠木は想
定した位置より上側に移動して上半身を支えることになり、笠木の上端だけが
当たりやすくなります。
こうしたことは必然で致し方のない事ですから、普通に考えれば橙線の笠木の
縦湾曲を大きく(小さいR)してやるなどのことで対処できますが、あまり湾曲を
大きくしすぎますと、背辺りが点接触に近づいていき当たりがきつくなるなど、
なかなか微妙なところがありますので、色々な観点から総合的に考えていく必
要があります。
勿論薄いクッションや座布団を置いたりして、ある程度までは対処することが
出来ますが、座面としては使うことで段々そうした傾向になってきます。
ある程度座面が緩くなってたわんでも、お尻の位置をなるべく引いて座ること
を考えれば、座面の角度を大きく設計しておけばよいことになりますが、こうし
た用途仕様の椅子では矢鱈大きく出来ません。
唯一ついえることは、事務やダイニングで使う椅子では前傾姿勢も多くなりま
すので、極一般的には座面角度をあまり大きく取らない椅子が自然ではない
かと思いますが、ペーパーコードを編んだイスでは先に書いたようなことがあり
ますので、気持ち座面角度を大きめにしておくようなことも考えていかなけれ
ばいけないでしょう。また、一寸考えていただければ分かると思いますが、気
持ち座面角度を大きめにしておくことは、座面が段々たわんでくる場合におい
ても、お尻の位置をなるべく引いた状態で座れる時間を稼ぐことが出来ます。
ただこれも当たり前ですが、座面前端が膝裏に当たりやすくなるなど、SHが
問題になってきますので、矢鱈角度付けたり出来ませんし角度だけでは解決
できませんから、これまたですが総合的に考えていく必要があります。
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