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イス雑感 19 2003.2.18記
前項で書きましたようにベニマツは機械的強度が弱いので、上二つの写
真のような編んだ椅子は、フレーム強度を確保するために二枚ホゾや場
合によっては三枚ホゾが必要になってきます。
また背座を編む椅子では
当を良くするために座枠に R を付けることが多く
なります。
上の写真の椅子では少し分かりにくいですが、座枠に前後には緩い R が
付けて有りますし、二番目の写真の椅子では前後の座枠と背板に R が付
けて有ります。編む椅子は強く編み締めますので、ホゾが抜けてくることは
ないのですが、R が付くことで部材全体が捩れて、ホゾ部分に捻りのモー
メントが相当強く働きかつ負担がかかり続けますので、接合強度と機械的
強度を良く考えておかなければなりません。
二番目の写真の椅子では前座枠は結構太い部材で、三枚の通しホゾで
楔締めしてありますが、それでも目一杯テンションをかけて編みますと、ホ
ゾ部分が捩れてきてしまいますから、テンションはある程度の手加減が必
要になりますので、ベニマツのような軟材では結構つらい部分ですし悩む
ところです。
また前に少し書きましたが、上の写真のペーパーコード編みの座は、編み
方の性質上座枠をなるべく薄くしなければなりませんので、
両側座枠と後
脚の接合強度も大変ですが、前後の座枠に R を付ける事で捩れに対して
よく考えなければならなくなります。当たりとしてはストレートでも問題ありま
せんが、少しでも辺りを良くするためには R を付けたくなる所です。
この辺りの R を付ける事による強度確保や加工の手間とその効果のバラ
ンスも悩むところです。逆にこうしたところは R を付けることで捻りのモー
メントが相当強く働きますので、丸ホゾでは回ってしまいますので框でガッ
チリ組むことに成ってしまいますが、一寸した仕様の違いで適切なホゾや
フレーム仕様が変わって来ますから面白いところです。
椅子の使い勝手を考えるときには、前座枠下の貫も足元の邪魔にならな
いように工夫することも大切ではないかと思います。フットレストにする発
想もないではないですが、基本的にはなるべく自由に足を動かすことが出
来る空間を確保したいところだと思います。
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