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イス雑感 18 2003.2.16記
よく言われるパイン家具のパインは松の、総称と捉えて良いと思います。
一般的には欧州松や何と言っても米松系が多いと思いますが、針葉樹で
すから広葉樹に比べれば柔らかいのですが、それでもわりと堅くてもろい
ところが有りますので、気を付けませんとバリ、ささくれが出たりしますし、
非常に棘が刺さりやすい木の部類に感じます。また年輪の軟硬差が結構
激しく加工しづらいところが有ります。
ベニマツはパインでは有りますが、全く別物といって良いほどの違いが有
ります。国産材では姫小松が一番近いといわれているようですが、確かに
よく似ていまして見分けが付かないくらいです。一般的には同じ樹種であれ
ば暖かい所へ行くほど堅く、寒い所へ行くほど柔らかなくなると言われてい
ますが、確かにアフリカなど暑い地域の木は非常に堅いものが多いようで
す。ベニマツは主にシベリア産のものが多いようですが、樹種やそうした寒
さ気候が影響しているのか、非常に柔らかく年輪の軟硬差も大きくありませ
んし、もろさもありませんのでかなり加工しやすい木と言えるでしょう。
何度も書いていますようにベニマツの一番の利点は軽いことだと思います
が、当然その分強度は広葉樹などに比べますと随分劣りますので、どちら
かと言えば前に書きましたような、剛構造でしっかりとフレームを組んだ椅
子が適しているように思います。強度確保のためにはどうしても部材を太く
しなければなりませんが、幸いおとなしい地味な木で圧迫感も少なく感じま
すし、軽いので見た目よりは思いのほか軽い椅子に仕上がります。
ただペーパーコードや綿ロープは結構重量が有りますので、この部分に関
しては見た目以上に重く感じる椅子になる傾向が有ります。
勿論三番目写真のようなウインザーチェアタイプの椅子も、無理なことをし
ないでうまくまとめれば、結構丈夫でベニマツの軽さを生かした軽量な椅子
に仕上がります。
椅子では R 部分が多くなりますが、ベニマツの強度の関係からどうしても
R を大きく取り難いことから直線的な椅子になりますので、見た目的に優雅
な椅子はなかなか難しいものが有ります。強度確保のためには広葉樹以
上に木の向き、木目や目の流れに注意して適材適所で使っていく必要があ
ります。前項でも書きましたような、椅子として一番力のかかる後脚と両側
座枠の接合部分などでも、ベニマツの機械的弱さから来るところが有りまし
て、自分の扱う木によりそれに適した扱いが有りますので、広葉樹などの機
械的強度のある木では随分対応が変わって来るのではないかと思います。
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