−組立て編−


第13章 トレモロの搭載 その1

よし部品は揃った!いよいよ楽器としての生命を吹き込むぞ!楽しみ.

まずはハード系のトレモロを搭載することに.早速,購入したトレモロをボディにあてがう.

うっ・・うぅ・・・・.イナーシャブロックがハマらない.ガガ〜ン!

サドルピッチを広いもの(USAサイズ)にしたので,トレモロのネジ間隔が変わるのは想定していたが,まさかイナーシャブロックまでハマらないとは・・・.前述のように,もともと「見たこともないようなトレモロ(→ここ)」が搭載されていたのでいやな予感はしていたが,見事的中してしまった.それとも国産サイズのトレモロってみんなこんなもんなのかなァ〜.作業のしょっぱなから壁にぶち当たった.
まあ悩んでいてもしゃーない,穴を拡げよう.またもや彫刻刀を手に持ち作業開始.

まずは削る箇所を確認.どうも6弦側が狭いようだ.
慎重に彫刻刀で穴を拡張していく.幸いにも材は堅くなく,サクサクと削ることができた.少しずつ削ってはトレモロをあてがい確認.試行錯誤の末,なんとか完成.
つぎにトレモロ搭載用のネジ穴開けだ.そのまま開けてしまっても良いかなと思ったが,ねじ込むと材が割れてしまうかもしれない.念のため古い穴を埋めることに.このような場合,プロのリペアなら古い穴をドリルで整え〜丸い棒を打ち込んで埋めるようだが,不幸なことにそんな機材も技術もない.う〜ん困った.
そうだ!昔,バカになったネジ穴を修復するとき竹串を埋め込んで修復したことがあった.よし,この方法でやってみよう!
まずは古い穴に木工用ボンドを流し込み,そこに細く割った竹串を詰め込み,木槌で打ち込んだ.はみ出た竹串をニッパなどで切り取り,彫刻刀で面を揃えた.おぉ〜,なんかサマになってきたぞ.6つの穴全てに同様の作業を施した.
プロのリペアにはかなわないだろうが,隠れる部分だし,強度的にも補強されただろうから,まあ良しとしよう.

よし,これで準備が整った.


第14章 トレモロの搭載 その2

次はトレモロを搭載するための位置決めだ.楽器としての最重要部分と言っても過言ではない.慎重に慎重を期さないといけない.何度も確認しながら作業した.

まずはボディ上下方向の位置を決める.こいつはオクターブが合わないなど,楽器としての機能に直接影響する.
弦長(ナット〜ブリッジの長さ)から逆算し,サドルの位置〜トレモロ取り付けのネジ穴位置を割り出し,ネジ穴の中心線をボディ左右方向にケガく.
次に中心位置だ.こいつが狂うと「ネックのセンターずれ」や「PUのポールピース位置と弦がずれる」など,演奏性や音に大きく影響する.参考に出来るのは,もともと開いていたネジ穴だ.その埋めた古い穴からセンターを出し,トレモロのネジ穴ピッチ幅を計算しボディ上下方向にケガいた.

何回も何回もトレモロをあてがい,ケガいた位置を確認した.よしこれでOKだろう.うん.
と,自分に言い聞かせながら腹をくくってポンチで中心位置を打ち込んだ.(後戻りできないよぉ〜)

次は緊張の穴あけ.位置があってても,斜めに開けてしまったりすると,トレモロの操作性に大きく影響してしまう.絶対に失敗は許されない.(う〜ん,こんなんばっかし!)
穴の深さを一定にするため,ドリルにテープを巻いて,一定深さ以上に行かないようにした.

よし,本番.前述の安物電動ドリルを持ち,緊張のスイッチオン!垂直姿勢のキープが最重要なのでそれに神経を集中し,あとはドリルの自重で穴を開けていく.
案外,材はやわらかく,順調に開ける事が出来た.まず一つ開けた時点で,垂直に開けられているか爪楊枝を差し込んでチェック.よし,OKだ.残りの穴も同様に穴あけ.出来たぞ!ふぅ〜.(写真17)

そして緊張のトレモロ搭載(作業詳細はTEXASメンテなどと同様なので割愛).慎重にネジを締め搭載しスプリングを張った.そして,さらに緊張の作動チェック.

よし!抵抗なくアームが作動するぞ!完璧!

ということで,一番の難関だったトレモロ搭載が無事終わりました.後は,ピックガードAssyの搭載や電気系配線くらいと,比較的楽な作業を残すのみなので,とうとうゴールが見えてきた.


…と,このときは,後々起こる様々な苦労を知る由もなかった.

↑写真17
加工後のトレモロ部分.ザグリを拡張し(左側に彫
刻刀の跡が…),トレモロ用のネジ穴も開けなおし
たよ.古い穴(6つの白い跡)は竹串で埋めました.

↑写真18
トレモロが無事搭載できたぞ!位置決めから搭載
まで2〜3時間はかかったかなァ.苦労の甲斐があ
り,無事作動できました.


第15章 ピックガードASSYの搭載

よし,だんだん形になってきたぞ.早速,ピックガードをあてがってみる.

アレレ・・・?トレモロに当たって,ハマらないぞ!

うぅ〜,またかぁ〜.トレモロを搭載した際,オクターブを合わせると従来の位置から2〜3mmほどヘッド寄り(写真17)になったので,少し気にはなっていたが・・・.おいおい,ちゃんと調整したのにぃ!標準サイズにしてくれよォ〜!
仕方がないので,ピックガードを削ることに.まあこいつは,素材がプラスティックなので,ヤスリで簡単に削れる.(写真19)

なんとか削れたぞ!よし,次はPUなどの部品搭載だ!

まずはVolなどのポットを取り付け・・・OK!よしよし.
次にPUとPUカバーを搭載・・・OK!よし,調子いいぞ!
最後にPUセレクターを搭載・・・ガガ〜ン!

ハマらん.サイズが違うやんけ!・・・うっ,ガマンガマン.

なんでこうも標準サイズじゃないのかね〜ホンマ.
これまた仕方がないので,セレクターの穴(スリット)の長さを5mmほど拡げ,取り付けネジ穴を開けなおしました.(写真は撮り忘れました.実はイライラしてたのです・・・ははは)

よし,ピックガードへの部品搭載は完成だ!配線する前に,とりあえずボディにハメこんでみる.

うっ・・・なんか当たってハマらんやんけ!・・・プチッ

いろいろ調べると,犯人はPUセレクターと判明.なんと,ボディの底に当たってるではないの!うおりゃ〜,どないなってんの!普通ありえんでしょ?ここまで標準的な部品がのらないとは・・・.

ここまで来たのだからキレてはいけない.またもや彫刻刀を取り出し,貫通させないように気をつけながら削っていく.(写真20)

ようやくハマった.いくら国産オリジナルだからといって,こうも標準サイズの部品がのらないとは・・・まいった.まあ「産みの苦しみ」ということにでもしておこう.(涙)

↑写真19
な・・なぜ,こんなことをやってるのだぁ〜〜〜!

↑写真20
真ん中が削った箇所.な・・・なぜ,こんな事を・・・!

次は配線だ.これまた,予想だにしなかった事件が起こるのであった.しくしく・・・.


《セットアップ編へ続く》