−セットアップ編−
ふぅ・・・.あとは配線するだけだ.過去に何回か修理したり自作したこともあるので,特に問題ないだろう. なお配線は,音質も考慮してクロスワイヤ(Fenderギターなどに用いられている,布巻きの線)を使用した.こいつは被覆を剥がさなくても,ズボンの裾を上げるようにすれば「ニュッ」と線が出てくるので,ヒジョ〜に楽だ.サクサクと作業を進める. 30分もしないうちに完成ぃ〜!配線チェックのため,アンプに接続し,ピックアップをドライバーでつついてみる.配線OKなら「コツッ」と音が鳴るはずだ.緊張の瞬間・・・ フロントPU・・・OK!よっしゃ. センターPU・・・OK!よぉぉぉ〜し! リアPU・・・アレ?もう一回・・・アレレ?鳴らない・・・しくしく・・・ 間違えてないはずやけどなぁ〜.しゃーない,もう一度配線をチェックしよう. |
![]() ↑写真21 配線の状況.クロスワイヤーを使って,できるだけ キレイに配線したつもりですが・・・無情な結果に. |
う〜ん・・・何回見ても問題ない.も・・・もしや断線?恐る恐るテスターで導通をチェックする.
「ゼロオーム」・・・ってことは断線?ガガ〜ン.無情な結果だった・・・オ〜マイガ〜!
萎えた・・・萎えてしまった・・・さすがに.PUカバーを付ける際にミスってしまったのかな〜.うぇ〜ん.ピックアップの断線なんか,素人が直せるシロモノではないのよ〜.
ここまであまりふれてなかったけど,横にはYN君がいました(部品調達ツアーから即作業してたの).お互いツアーで疲れてたし,復旧目処が立たないので作業中断してもよかった.1人だったら中断してたやろな.でもYN君は明日帰らないといけないし,断線さえ対処できれば完成だ.なんとか音出しまでたどり着きたい.
ということで眠たい身体にムチ打って作業継続.まずは対処法がないか,ネットで検索してみよう.「断線,修理」などのキーワードで探しまくる(なかったらあきらめるしかないな〜@ホンネ).
おぉ〜,結構あるでないの.いろんな人が居るもんやな〜.直し方としては,「断線箇所を見つける〜互いの線の皮膜(エナメルなどのコーティング)を剥がす〜重ねてハンダ付けする」って感じだ.うおぉ〜超ムズかしそう!なんせPUコイルに巻いてある線って,ウブ毛くらいの細さなんやぞぉ(マジ).見つけるのも大変やし,ましてやハンダ付けなんて・・・.
え〜い,いろいろ悩んでいてもしゃーない.ダメモトなので作業を開始!
第17章 悪戦苦闘!リアPU修復
時計をみると深夜2時過ぎ.ヒジョーに眠たい.眠い目を擦りながら,断線箇所を探す・・・って,
「そんなん,わかるわけないやろ〜〜!」
例えて言うなら,糸巻き(裁縫のヤツね)に巻かれている「糸の切れている部分」を探すようなものだ.しかも,前述のように「ウブ毛」のような代物だ.それにコイルの回りにはベタッとしたノリみたいなのが塗ってある.目を凝らして見ても全然解らん.う〜ん困った.まずは,切れている箇所が解らなければハナシにならないのだが・・・.やはり素人では無理なのか.
「え〜い,困ったときはCRC556だ!昔,壊れたテレビに吹きかけたら治ったことがあったぞ!」
と,ヒジョウに無意味だがシューっと噴いてみた.コイルを擦ってみると・・・
「ピン・・・.ん?なんか出てるぞ!おぉぉ〜断線箇所だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
なんか知らんけど発見することが出来た.うぉ〜奇跡だ!神様が助けてくれたのね・・・ありがと〜!
ということで,早速修復作業開始.
まず,互いの線のコーティングを剥がす.カッターナイフの先でカリカリと擦ると,こげ茶色から銅線色になってきた.お〜,なんかエエ感じ.
次にハンダ付けだが,これまた難しい.ウブ毛のような線を重ねるだけでも大変なのに,ましてやハンダ付けなんて・・・.なんとか重ねて,ハンダゴテを取ろうとした瞬間に「ピーン」を離れる.仮にハンダゴテがうまく持てたとしても,ハンダを持ったときに「ピーン」.うぇ〜ん.手が4本あれば良いが・・・.そうだ!YN君がいるじゃないか.手伝ってもらおう.ふと見ると
「こっくりこっくり・・・.舟を漕いでいる・・・」(あちゃ〜)
たたき起こすのはカワイソなので,もう一度頑張る. 試行錯誤の末,あらかじめ線にハンダを乗せ(予備ハンダ)〜互いの線を重ねセロテープで固定〜ハンダ付けしてみた. 何回目かのトライで,ようやく無事ハンダ付け成功!やったぁ〜!恐る恐るテスターで導通チェック・・・. OKだぁぁぁぁ〜!おれはやったぞ〜! 喜びを分かち合おうと,YN君の方を見た. 「Zzz・・・.完全に寝ている.しかも,気持ち良さそうだ.」 (おまえシバいたろか!) まあエエか,成功したし.(ダメだったらYN君のせいにしようと企んでいた). ということで,繋いだ部分が外れないように,アロンアルファで固めてPU自身に接着(写真22参照).完璧ぃ〜!! 再び断線しないよう,慎重にPUカバーを装着〜ピックガードに搭載!苦労した甲斐があったな〜. |
![]() ↑写真22 修復後のリアPU.ポールピース上(左から3番目) のにある水滴みたいなのが,ハンダ付け〜アロン アルファで固めた箇所.無事成功だ!! |
後はこれを組み立てれば完成なのだが,コンデンサ(トーン調整のヤツね.音質の重要なファクターなの)を選ぶ仕事が残っている.弾き比べできるよう,トーンポットからワニ口クリップのついたコードを引き出し,ピックガードを仮付け.
そして弦を張っておいた.お〜〜,ほぼ完成だ!ウルウル・・・.
明朝,ワニ口にいろんなコンデンサをつけて弾き比べだ〜!そして待ちに待った完成が待っている!
第18章 音を決める〜コンデンサ選び
「コンデンサで音が変わる」 ギター改造のサイトなどを見ると,どうも定説のようだ.さらに,配線材やハンダの質なども重要なファクターのようで,高額で取引されているの(コンデンサ1個で1万とかザラにあり.電気屋で普通に買うと数百円!). イマイチMORYは懐疑的だったのよね.電気的には変化があるだろうけど微弱なものだろうし,ましてや人間の耳で聴き取れるものなのだろうか,と思っていたのがホンネなの. YN君はというと結構ハマっているようで,ショップなどでコンデンサを交換しているみたい.コンデンサのストックも何種類かあった.ムフフ・・・今回はすごくいい機会だ!実験がてら,数種のコンデンサを比較しよう! 前述のように,ギター本体にはコンデンサを接続せず「ワニ口クリップ」をつけた線を引き出している(写真23).ここに,とっかえひっかえ「いろんなコンデンサ」を繋いで弾き比べてみよう. 今回の計画は,ピックアップ位置(Fr/Ctr/Rr,各ハーフトーン)×ボリューム(Vol10/8)×トーン(Tone10/5/0)など計10パターンを1セットとし,いろんなコンデンサで弾き比べることにしました. |
![]() ↑写真23 ピックガードの下からワニ口クリップを 引っ張り出しました. |
![]() ↑写真24 比較されたコンデンサ達 |
こういうのって,弾いた感じが重要だと思うんだけど,これだけの組み合わせ(やりすぎ?右表参照)だと,弾いているうちにだんだんわからなくなってしまうかもしれないな. 今回,POD(アンプシミュレータ→こちら)を介して演奏をパソコンに取り込み,後から比較できるようにしました. いざ試奏開始! 各コンデンサにて,数十秒のフレーズを弾き録音〜ファイル保存〜を繰り返す.PC操作はYN君にお願いしました. うまく言えないけど,コンデンサを変えると「強く弾かないと鳴らない」ものや「いつまでも弾きたくなる」ようなものなど・・・そんな感覚的なものだけど,確かに音の出方・音色が変わった感じがしました.まあ,比較しないと解らないレベルかもしれませんが・・・.感覚的には違いが明確に感じ取れました. Toneをフル10にすると,コンデンサはほとんど関係ないはずなのにな〜.微弱な信号により音のニュアンスが変わるのかな〜.なんか不思議. こりゃ配線材とかに凝る人が出てくるワケだ.うんうん. |
PU/Vol/Toneを 組み合わせて 比較しました |
ふう,同じようなフレーズを何十回と弾いたぞ!ちなみに,全ての組み合わせで弾いた音源は残してます.CD1枚分近くにはなったかな〜(決してヒマ人じゃないぞ!・・・説得力なし・・・トホホ)
でも,欲しい人はMORYまで!(んなもんいるかぁ〜!)
今回,それぞれのインプレッションは詳述しませんが,個人的感想を簡単にいうと(MORYの主観ね!)
・コンデンサなし:ペラペラな感じ.鳴らない感じでした.これは確かに言える!
・レスポールによく使われるBlack Beauty:ストラト用(0.047uF)を使いましたが,マイルドな感じ.
・くせのないと言われるVitaminQ:バランスがいい.オリジナルよりややマイルドな感じかな.
・評判の高いOrange Drop:ハイ/ローがよく出る感じ.ストラトのジャキジャキ感がよく出る感じがしました.
ということで,今回Relicに搭載することになったのは
「Orange Drop」となりました.パチパチ〜!
VitaminQと悩みましたが,やっぱストラト(しかもメイプル指板)はジャキっとした方がいいかな〜ということで決めました.
よし,これで完成だぁ〜!このあとスタジオで大音量で試し弾きしにいくぞ!
そそくさと準備をすまし,いざスタジオへ!
《完成〜デビュー編に続く》