top
Challenge 2
<< 前へ 次へ >>
木の扱いについて 4 2002.6.19記
上図は板で組んだ棚を前から見たところですが、この場合の板の表
裏はもう想像が付くと思いますが、両側板は白丸部分の接合を優先
して考えて行けば、青矢印の外側を木裏にします。
また棚板は接合自体に表裏の影響はありませんので、棚板は緑矢印
の上側を見た目の綺麗な木表にします。
例えば背の高い棚を作ったとしますと、目線より高いところに棚板が
付く場合はどうでしょう。棚板自体は絶えず赤矢印の下面が見えてい
る事になりますので、見た目を考えれば下面を木表にしても良いこと
になります。ただしこの場合には棚板自体は凸面に反る傾向にありま
すので、置く物によっては座りの悪い事も有るでしょう。
こうした事も決まりは有りませんので、常識や習慣に流されることなく
自分なりの自由な発想で工夫し
てください。
次に四方を角材などで枠を組みその
内側木端面に溝を掘り
、薄い板
をはめ
込む構造を框(かまち)と言いますが、キャビネット類や扉など
に多く
用いられる構造です。
二番目の図は扉を例として書いたものですが、右側は矢印部分の断
面拡大図になります。この框にはめ込む薄い板を鏡板(かがみいた)
と言いますが、四面の溝は図の白い部分のように少し空きを取ってお
き、鏡板は接着せずに湿度による伸縮を吸収させます。
こうした構造では空矢印の上下框は木の上下、鏡板は木の幅方向に
なり一番伸縮差の大きい関係になりますので、特に縦框の白い部分
の空き寸法は鏡板の伸縮を十分見ておく必要があります。鏡板が幅
広になりますとかなりの伸縮差が出ますので要注意です。この空きが
足りませんと鏡板の膨張で桃丸部分が抜けて来てしまうことも有ります。
この鏡板は四面とも溝にはめ込まれていますから、反りの心配は要り
ませんので、必ず綺麗な木表を外にします。
またこの鏡板は見栄えから、一枚板でなるべく栄える木目を選んでく
ださい。好みの問題になりますが、柾目よりは板目の方が合うような
気がします。ただしあまり幅広になりますと、一枚板は手に入りにくい
ので接ぐことになりますが、その場合には柾目の方が板接ぎが目立
ちにくいことと、幅方向の伸縮が少ないことから扱いやすいでしょう。
次に板目と柾目について書いていきますが、板目板は
左図のように年
輪が横に走っていますから、紫矢印のような力に対して割れ難く、綺麗
な木目が出ますが、反りが出やすい性質がありますし、幅方向の伸縮
は大きいことになります。木を有効に使うには非常に歩留まりが良いの
で、基本的には板目を主に使うことを考えていくべきでしょう。
柾目板は右図のように年輪が縦に走っていますので、紫矢印のような
力に対して年輪に沿って割れやすく、木目としては地味で面白みは有
りませんが、反り難く幅方向の伸縮は小さいことになります。柾目板は
多く取ることが出来ませんので、歩留まりの悪いことを考えれば、どち
らかと言えば機能上必要なところで主に使っていくべきでしょう。
「木の扱いについて 5」で続きを書いていきます。
<< 前へ Page top 次へ >>
|