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イス雑感 2 2003.1.15記
一つの椅子を設計する場合を考えて見ますと、当たり前の話ですがどん
な椅子を作りたいのかが原点になりますが、椅子はオールマイティーな物
は出来ませんので、ある状況で快適な椅子でも他の状況ではそうでないこ
とも出て来ますし、体形の違いによる向き不向きも出て来るでしょう。また
外観の好みも有りますのでそうしたことも考慮して、まずどこでどんな状況
で使う椅子を作るのかを考えていかなければなりませんし、自分の扱うこと
の出来る素材、道具や技術も加味していくことになります。
そんなことから椅子を考えて行くときには、自分の惹かれる椅子や世間一
般に高く評価されている椅子などに、機会あるごとになるべく沢山座ってみ
ると良いでしょう。好みに合うかどうかは別にして、それなりに色々なところ
で取り上げられる椅子は、形、構造、作り、座り心地や歴史、文化的価値
などハード、ソフトを含めた何がしかの人を引き付け魅了するものが有る
はずですから、色々な意味で非常に参考になると思います。
そしてそうした椅子の位置、角度、材質、面の形状がどう
なっているか良く
調べてみましょう。少しずつそうしたものが座り心地にどう関係しているか
が見えてくると思いますし、自分に向いた椅子が分かってくると思います。
ただこうした時によく言われることですが、自宅で座る状況と異なりますか
ら靴然りで注意が必要ですし、自宅では何の気兼ねも無くリラックスして
座りますが、色々なところで座り心地を試そうとしますと、構えて行儀良く座
りますので、そうしたことも加味して見ていかなければと思います。現実に
自宅における普段の生活で、かしこまって背筋を伸ばして行儀良く座ること
がどれ程あるでしょうか?斜に構えて座ったり、横を向いて座ったり、あるい
はまたいで後ろ向きに座ったり、胡坐や片足胡坐ですわったりの、勿論良
い意味でのだらしな
く座る時間の方が長いのではないでしょうか?
オブジェや工芸美術品的な椅子の場合はそうした要素は少ないでしょうが、
実用的な椅子を見ていく場合にはそんなところも見ていく必要があると思い
ます。
とにかく椅子は見ただけでは座り心地は分かりませんので、色々なところで
椅子に座る機会が有りましたら、人目を盗んでどんどんだらしなく座ってしま
いましょう。ただそうした座り心地がどうのこうのを飛び越えて、嗜好品のよ
うに理屈抜きでとにかくこの椅子がと思えるような椅子に巡り合うことも有る
でしょうから、なんとも奥の深い楽しい世界です。
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