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引き出し作り 1 2002.3.21記 
   Informationの引き出しについて、で書きましたようにIN SETの引き出しはな 
かなか作り応えが有りますのでぜひ挑戦してください。 
前板と側板は包み打ち付け継ぎ、側板と後板は打ち付け継ぎ、底板は9ミリ 
で四面落とし込みとします。 
側板と後板は、アラレ組みや小根追入れなども良く見かけますが、経験上 
前板と側板の包み打ち付け継ぎを丁寧に作っておけば、一番簡単な打ち付 
けで問題ありませんので、これ以上の細工は必要ないと思います。 
                            引き出しの前板は家具の顔になりますので、なるべく木目の綺麗な一枚
の 
板から木取るようにして下さい。もし出来ない場合は、なるべく木目や色目 
を揃えるように木を選別して下さい。引き出しが複数横に並ぶときは見栄え 
が違いますので、何とかして、一枚の板で木取り木目が繫がるようにして下 
さい。板の裏表は全ての板が、引き出し内部に木表が来るようにします。 
この時に、前板が板目なら側板も板目となる様に合わせて下さい。これが 
板目と正目の組み合わせになりますと、板の膨張収縮が違いますので接合 
面に絶えずストレスがかかり続けることになります。これは直ぐにどうかなる 
わけではないですが、何十年と使い続けるうちにそのストレスで接合強度が 
落ちてくる可能性が有るからです。簡単な構造でも、理に適ったこんな小さ 
な工夫をコツコツと積み上げていけば、長年の使用に耐る家具を作る事が 
出来と思います。 
 
前板の寸法は本体の引き出し口から現合で取るようにします。横幅は入る 
か入らないか、縦は抵抗無く入る程度、板厚は22ミリ程度とします。 
側板の寸法は縦は前板と同じ、長さは受け桟の場合、後ろにストッパーを 
取り付けますので、そのスペースを考えて寸法を決めてください。擦り桟は 
ぎりぎりまで伸ばせますので自由です。板厚は受け桟の場合11ミリ程度、 
擦り桟は+3ミリで14ミリ程度です。 
また側板は前板と組んでから、引き出し口に合わせてカンナで調整してい 
きますので、下図の矢印の様に前から後ろに向かってカンナがけが純目と 
なるように木の向きを考えておきます。これが逆になりますと、後の調整削 
りが面倒になります。 
後ろ板の寸法は縦は前板と同じ、長さは引き出しの仕上がり寸法が前板 
横幅より1ミリ程度狭くなる寸法(400ミリで1ミリ程度の勾配)にします。このよう 
に後ろを絞ってやることでスムーズに出し入れしやすくなります。板厚は11 
ミリ程度です。また理窟としてはほんのわずかですが、台形になりますの 
で強度が上が
ります。 
底板は当然短手が板の巾方向になります。寸法は長手が溝の内寸より 
−1ミリ、短手は溝の内寸より−3ミリとします。ベニマツの巾方向は気象状 
況により、300ミリの板目であれば1〜2ミリ弱動きますので、溝の内寸ぎりぎ 
りで作りますと、膨張する時には引き出しを壊すほどの力がかかりますので、 
作る大きさにより考えてください。板厚は9ミリですが、底板の溝を彫ってか 
ら現合で削ります。 
 
前板は、まず包み打ち付け継ぎの切欠きを、板厚の2/3程度と側板が0.2ミリ程度はみ出る寸法で加工します。切欠 
きと側板との接合が引き出しの要となりますので、滑らかな平面で側板と密着するように、加工はルーターか昇降版 
などを使用すれば綺麗な継ぎ面が得られます。もし手加工の場合は箱治具などを工夫して滑らかなが平面が得られ 
るようにします。この時に側板は400ミリで1ミリ程度の勾配を付けますので、厳密には傾ける所ですが、作業は90度 
でかまいませんがこのことを意識して作業してください。後は取手(ノブ)の穴を使う物により適宜開けます。 
側板に木ねじの穴を開けます。木ねじはダボで埋めますので、まず径6ミリで深さ4ミリを座グリ、3.2φの貫通穴を開け 
ます。木ねじの数は100ミリ巾で3本と考えていけば十分だと思います。 
次に4面にルーターで底板の溝を、上げ代は10ミリで幅9ミリ深さ6ミリで掘ります。また擦り桟の場合はここで側板に 
擦り桟の入る溝を、私の場合は上端より20ミリの所に、幅18ミリですが、この溝は先に作ってある本体の擦り桟に合 
わせて現合で掘ります。深さは8ミリで掘ります。 
後は各部材の仕上げをしていきます。 
受け桟の場合、まず前板を引き出し口にはめ込み、前板上端と引き出し口が2ミリ弱空くように削ります。次に前板 
下端以外の三面の仕上げ削りをします。後は引き出し内側木端二面を面取りします。 
側板は前板に合わせて巾を落とし、後は上端と引き出し内側二面の仕上げ削りをします。この時に底板の溝がずれ 
ない様に注意してください。底板が差し込めなくなってしまいます。 
擦り桟の場合、まず側板を引き出し口に差し込み、側板上端と引き出し口が1ミリ弱空くように削ります。つぎに側板 
下端と引き出し口が1.5ミリ弱空くように削ります。後は上端と引き出し内側二面の仕上げ削りをします。 
前板は側板に合わせて巾を落とし、次は上端と引き出し内側二面の仕上げ削りをします。後は引き出し内側木端二 
面を面取りします。この時に受け桟の場合と同様に、底板の溝がずれない様に注意してください。 
後ろ板は側板の仕上がり寸法よりも更に上下1ミリずつ落とします。次に上端と引き出し内側二面の仕上げ削りをし 
ます。後は四面とも面取りします。 
底板は引き出し内側のみ仕上げ削りをします、後は裏表全面を面取りして各部材の作業は終了です。 
次は組み立てに入りますが、「引き出し作り 2」として後日書き込んで行きます。 
  
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