top
Challenge
<<
前へ
次へ>>
イスについて 19 2002.2.9記
写真(C)の背や(D)の背座の様に、少しでも三次元曲面に近づくような面
を出すために、編み枠四面にRを付けた場合について書いていきます。
編む事だけについては今まで書いてきた事で全て対処できると思いますが、
この場合にはRの付いた面にRを付けますので少し厄介になります。
そのまま編む事も出来るのですが、縦と横のテンションの加減などが非常
に微妙になってしまいますので、少しでも安定して編める様にするために、
ここは縦巻き保持の冶具を使いなるべく上手く面を出す事が出来る様にし
ます。
写真(D)のイスを
例に書いていきます。下図は横から見た所ですが、説明
の都合上アームは省い
てありますし、背板にもRが付いて来ますので立体
的で複雑になりますから
簡略図にしてあります。
白と緑が縦巻き保持の冶具になります。治具が無い場合には縦巻きは黄
点線の様になりますが、縦巻きのラインを少しでもフレームの形に近づけ
るために、この治具を付ける事で縦巻きは茶線の様になり近似的ですが
近づきます。
治具の取り付けは、左右のフレームに渡しゴムバンドなどで固定します。
図からも判ると思いますが、座と背は縦巻きで押さえられますので仮止め
で十分ですが、緑の治具の部分はロー
プを図の様に内側を通しますので、
テンションで治具が浮いて来てしまいますからしっかり固定します。
この位置である程度面の形が決まりますので、取り付けた位置は必ずメモ
しておくのが良いでしょう。今後のためにフィードバックさせていけば段々良
い面が出せるようになりますし、リピートであればいつも同じ面が出しやすく
なります。また、治具の本数も多ければ面は上手く出ますが編みにくくなり
ますし、少なければ反対になりますので自分なりに考えて決めてください。
治具は上図の様に弓型でステンレスの平鋼で作ります。寸法は強度から3t
以上で幅は20ミリ以上は必要でしょう。編む事から考えればなるべく薄くしま
せんと、図から判ると思いますが、センター部分は良いのですが両サイドが
フレームから浮きすぎてしまいますので、編んで治具を抜いたときに緩くなっ
てしま
います。また、
薄くすれば治具の強度が下がり縦巻きのテンションで
Rが大き
く変わってしまいセンター付近に支障が出ます。
また、幅も広ければ強度が上がりますが、今度は横編みの作業性が悪くな
り
ますのでなかなか厄介です。補強する事も考えられますが、抜き差しの事
も
有りますので、上手く折り合いを付けてこの形で冶具を作り編むのが無難
か
なと思います。長さは700ミリあれば十分でしょう。
平鋼のRはフレームのRと同じでは編んだ時にテンションで変わってしまいま
すので、それを見越してフレームが1300Rであれば1500Rというように大きめ
にしておきますが、この辺りのことは各自の考えや作業の仕方、編み方の癖
に合わせて変えていく必要が有るでしょう。
写真(D)のイスはフレーム仕様の関係で緑の治具は真直ぐな平板を使ってい
ますが、ケースバイケースで対応して
ください。座の下側は見えない所ですし、
横編みで上手く抑える事が出来ますのでまず必要ないと思います。また、背
の裏側も黄点線の様にフレームを真直ぐにしておけば当然治具は必要有り
ません。
背の縦巻きは裏側に反りを入れた仕様にしますと、図に様に治具の内側を通す事になりますので、余り大きなけさに
しますと作業が大変になりますので、適当な長さに切って繋ぎながら巻いていきます。後は今まで書いてきた事と同じ
です。
横編みについても同じですが、こちらも背の裏側に反りを入れた仕様では白丸部分が浮く可能性が有りますので、横
編みにテンションをかけて押さえ込む感じで編みます。また、このタイプは目数を増やす面が、座、背両面と三面にな
りますが、巻き始めは前項で書きました様に編み足し部分から編んでいきますので、青丸部分から始めて赤矢印の様
に背座両端へ向かって編んでいく事になります。それから、縦巻き保持の治具を入れた場合は横ロープを通しにくくな
りますので始めからピンセットを使うと良いでしょう。また、引くことも大変になりますので、繋ぐ回数は増えてもロープは
少し短めに切り繋ぎながら編んだほうが良いでしょう。
これで棉ロープを使ったイスにつてのおおよその事は書きましたので、Exhibitionにある程度のイスでしたら作る事が
出来ると思いますし、まだまだ工夫、改良して行けば質の高いイスになる可能性の有るタイプのイスだと思いますので
是非チャレンジしてください。
<< 前へ Page top 次へ
>>
|