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構造について 72 2004.12.17記

背面より

前項の続きになりますが、 少し細かく考えていきますと、外側は融通が利
くと言いましても勿論矢印のスペースを取るという方向ですが、スペース
があるということは座枠の部材寸法を広くすることができるということです
から、くどいほど書いてしまいますが、写真のイスの編み方はとにかく
印寸法を小さくしておきたいことが有りますので、結局は脚寸法に対して座
枠寸法は取れるだけ広くしてしまい、極力矢印寸法を小さくする方向で
設計していくことになるでしょう。
特に写真のイスのように前後の座枠に湾曲を付けるような場合には、捩れ
に対しての部材及びホゾ強度を、とにかく良く考えておかなければもちませ
んのでなおさらです。
また内側では編むロープによって必然的に矢印のスペース寸法が決まっ
てしまうと書きましたが、特にカナコ編みではこの矢印部分が広すぎます
と、横の編み目側で編み初めと編み終わりの列が空いてしまいますが、下
の図を前後の座枠の断面と考えれば、一点差線は脚を表わしていますの
で、横編みのロープは丸のようになり、矢印スペースが広ければ隙間
ができてしまうことがわかると思います。

この時のホゾについては、前に書いた点線と同じ発想で行けば点線の
ようになりますが、当然図からも分かるように内側は脚の位置関係から、こ
のまま通しホゾ穴をあけてしまいますと、脚の部材が物理的に弱くなってし
まいますので、必要最小限の胴付を設けてホゾは色点線のように少し控
えた仕様にすることになります。
後一つは、人それぞれ設計は違いますので、部材寸法やそれぞれの部材
の位置関係で一概には言えませんし、具体的な数値は上げませんが、たと
色点線のように少し控えても、二段目の図から想像が付くと思いますが、
横長縦狭のホゾ形状になってしまうことが多いと思います。これで通しホゾを
あけてしまいますと、胴付を設けてもやはりホゾ穴部材の繊維を多く断ち切
ることになり、脚の部材強度が落ちてしまいます。
一つのホゾは加工や収まり、ホゾの利かせ具合や全体の強度など、その他
総合的に考えていきますと、基本的には縦長横狭にしておく方がなにかと理
に適っているのではないかと思いますが、単純に考えればそれからいけば
こうした所では二枚なり三枚のホゾに分けてしまえば良いことになります。


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