表題が何のことやらわからないかもしれませんが,気にせず読んで
いってください.そのうちに意味がわかってもらえると思います.ギターの話です.それではお付き合い願います.始まり始まりぃ〜〜!
第1章 生い立ちなどを・・・
今,手元に1本のストラトキャスターがある.
思えば15年以上も前の話だが,ご存知のようにナウギタは下宿していた.当時の下宿仲間であったツレが”1年間アメリカへ留学する”とのことで,
荷物の整理をいっしょに手伝っていたときのこと.ツレが処分に困ったのか,オブジェとして使用していた”知人からもらったストラト”を手に持ち,
「おまえが弾いてくれたほうが,ギターも幸せやろ」
とか言いながら譲ってくれた.
それは,前々から存在は知っていたのだが,「無名メーカー(鈴木バイオリン製?ロゴをみると”Oakland”って書いてある)」,
「出音がショボい」, 「チューニングが不安定」などの理由から特に意識はしていなかったが,当時は”シングルコイルのストラト”
を持っておらず,SRVに没頭していた頃なのでありがたく頂いた.
生音は結構大きくネックの形状も結構好きだったので, もっぱら生音での練習用に使用していた.最初は気分良く弾いていたものの,
前述のようにチューニングが狂いとかサスティーンがいまいちなどの理由で,そのうち弾かなくなっていってしまったの.
大学卒業から何回か引越ししたが,その度に他のギター達といっしょに連れて現在に至る.今や持っているストラトは,TEXASはじめ
Stevieも居るのでほとんど使わない事はわかっているのだが,「そのうち何かに使えるかも」とか「エレキ初心者の人が居れば譲って
あげよう」と思っていたと言うのが本音である.
アンプを購入して,ストラトの魅力にずっぽりとハマってしまったナウギタは,あることを考え始めていた.
第2章 プロポーションは・・・
彼は,下記のような素性および特徴を持っている.
全体的:Fenderの'75〜'76前後のコピーモデルと推定.ラージヘッド,PGは11点留め,ペグは角張ったタイプetc
ネック:貼りメイプル指板で,フレットは太め,ネックはカマボコ型で指板はややワイドかな.
ボディ:サンバーストだが,レスポール(チェリーサンバースト)っぽい色.材はおそらくアルダー製.
その他:PUとか電装系は全然ダメ.豆電球の線のような細い線で配線されている.
とりあえず音は鳴るって感じ.トレモロブリッジにいたっては,イナーシャブロック(弦を通す鉄の塊)が存在せず,
コの字型の鉄板がブリッジにつけてある.トホホ.サスティーンがないはずだ.
↓写真1
上から見ると,普通のブリッジだが・・・. |
↓写真2
横から見ると,イナーシャブロックはなく”コの字型の鉄板”!う〜ん.ダミだこりゃ. |
↓写真3
ペグもガタつきが多く,役不足の感が否めない.. |
だいたいこんな感じで,”とりあえずエレキ作ってみました”って感じが否めない代物だった.
ただ,材は結構いい木を使ってるみたいで,軽いし木目もとおっている.鈴木バイオリンっていうほどだから,エレキは素人かも
しれないけど,木はいいのを持っているのかな.生音がデカかったのは,このせいかもしれない.
材は良いし,メイプル指板のストラトは持ってない.考えることはただひとつ.【再生したい】であった.また,過去の質屋ツアー
などで,JUNKのギター部品なども時々見かけた.
よし,ここはいっちょう「中古部品を集めてこいつを再生してやろう」.
ナウギタは動き始めた.
第3章 構想を練る
う〜ん.どのように仕上げようか.漠然と考えていることは・・・
・再生させるからにはLiveでも使ってあげたい.サブギターとかメイプルの音がほしい時に使えれば御の字.
・完璧に仕上げるのではなく再生するのが目的なので,費用はできるだけ抑えたい.
・とは言っても,やる以上は音・見た目ともに,できるだけしっかりしたものにしたい.
う〜ん.二兎も三兎も追っている感じ.(笑)
音に関しては,木は良くてもPUやブリッジが良いものでないと非常に厳しそうだ.この辺の部品は結構高いのよね.ナウギタの
”ファイナル値切りウェポン”を発動しまくっても無理やろなぁ.まあ先回MORYをメンテしたときのように,気長にリサイクルショップに
行って,ピックアップなどJUNK部品を探そうと決めた.探し物は”ペグ”,”トレモロ”,”ピックアップ”,”ピックガード”だ.
例のごとく.家族で出かけた帰りがけなどに,足を運ぶことにしよう.(嫁はん,息子達よ,ゴメンなさい・・・)
見た目に関しては,現状のままでも悪くはない.ただし,ヘッドのロゴ(黒い字でデカデカと書いてある)がちょっとカッコ悪い.
これについてはアイデアがあった.それにはまず,現状のロゴを消さないといけない.
早速とある週末の深夜,おもむろに作業に取り掛かった.
第4章 ヘッドのロゴ改良作戦
そのアイデアとは,結論から言うと「Fenderロゴに変えてしまう」ことであった.古いロゴを剥がし,Fenderロゴをシールにして貼ればバッチリかも・・・.できればリペア用のシール(数千円する)などではなく,自作したいものだ.う〜ん,そんなにうまくいくかなぁ〜と思いつつも,”失敗してダメもと”なので早速チャレンジすることに.
まずは題材となるFenderロゴをインターネットなどで探す.こいつはラージヘッドなので,ターゲットとするロゴは「デカいFenderマークで,横に”STRATCASTER”ってウェイブがかった文字が書いてあるヤツ」だ.
しばらく探す.しかし,これがなかなか無いんよね〜.画像はあるけど,画質が悪かったりピンボケだったりして使えそうなものが見つからなかった.
そこでナウギタは考えた.
そうだ,店長から購入した”'78 MUSTANG(命名:Kangoo)”もラージヘッドだ.
こいつをデジカメで撮影して,ロゴを作ってしまおう!早速ムスタングを取り出したが,そこで気付いた.
「あっ,”MUSTANG”って書いてある!」(あたりまえか・・・.も〜店長ぉ〜)
と,店長に罪はないのだが(しかも全く関係ない),そう考えることで少しはナウギタの気が晴れた.α波で満たされた
ナウギタの頭脳には,またもや名案が浮かんだ.
「え〜い,”STRATCASTER”の文字くらい,多少ウェイブがかかってたとしても何とかなるわい」.そう,名案とは”自作” なのであった.ははは・・・.幸い画像編集は年賀状などで慣れている.まあ,あれこれ考えるより,まずはやってみよう.
まずは,撮った写真から”Fender”の文字だけを切り抜く.これが結構手間がかかるのよね〜.慎重にマウスを操作し,
震える手でロゴ以外の背景を消していく.根気のいる作業だ.(決してヒマじゃないぞぉ〜) |

↑写真4
店長ムスタングのヘッド写真.当然のことながら,横の文字は”MUSTANG”って書いてある |
1時間くらい経ったろうか,なんとか無事にロゴを切り出すことができた.なかなかの出来だ.あとは”STRATCASTER”のウェイブ
した文字と,シリアルナンバーを書き込むだけだ.
慎重にフォントの種類を選び,文字サイズも調整しいざ挑戦.しかしこれがまたまた苦難の連続だった.一文字ずつ文字を微妙に
ウェイブさせながら並べていく.出来た!と思っても文字がデコボコだったり,バランスが悪かったり,ヘッドの形状に沿って
曲がっていなかったり・・・.その度ごとに修正していった.
しばらくしてようやく完成.気がつけば更に1時間近く経っていた.とりあえず紙にプリントアウトしてヘッドに 合わせてみる.おぉ〜,完璧!そして,あらかじめ購入していた”TATOOシール(刺青シール用の紙)”にプリントアウトし, ようやく完成! |

↑写真5
完成したロゴ.さて,シリアルナンバーは何の番号にしているでしょう? |
第5章 ロゴ改良作業開始
よし,ロゴのシールは出来た.あとは現状のかっこ悪いロゴを消して,Fenderもどきシールを貼りつけるだけだ.ワクワクしながら紙やすりを取り出し,ヘッドのロゴ部分を擦る.ひたすら擦る.いっぱい白い粉が出てきた.おぉ〜だいぶ削れてるぞ!しかし現実の壁にぶち当たる.
【あれれ,労力のわりに全然消えてくれないぞ・・・.ぬぉわ〜,えらい塗装が分厚いやんけ!】
う〜ん,しょっぱなからこんな苦難があるとは・・・.これではナンボ時間があっても足りない.ナウギタは考えた.
【よし,塗装を削り取ってしまおう.】
職業柄,表面を削るには”スクレイパーという道具(お好み焼きのコテみたいなやつ)”があると便利と知っているのだが,残念ながら持ってない.いろいろ考えながら工具箱をまさぐる.
まずは棒ヤスリを発見.しかしロゴの部分だけ削るのはちと難しい.木まで削ってしまいそうだ.しかたなく却下.さらに探す.デカいカッターナイフがあった.刃で削るのは無理があるなぁ〜と考えながら良く見ると,「刃をポキッと折ったところの断面」がコテっぽい.試しに削ってみる.おっ!エエ感じで削れていくぞ!刃が微妙にしなり,いけそうだ.
ということで作業再開.
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←写真6
作業途中の様子.思ったより塗装が厚くて,なかなか消えてくれない.慎重に削らないと表面がボコボコになって,後の仕上がりに影響する.
慎重に・・・慎重に・・・.(だからヒマやないって!) |
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→写真7
何とかロゴが消えてくれた.写真上のカッターナイフの頭部分で削りました.なお,写真下の白い粉が削りカスです.お〜たくさん削れたぞ! |
ようやく,ロゴが消えてくれた.あ〜手にマメができそう.今度\100均一などでスクレイパーを買っておこう.
削った表面を整えるために,紙やすりで平滑化していく.さあ,いよいよFenderロゴシールを貼るぞ!どんな感じになるのか楽しみ!
第6章 ヘッド部分完成!
第4章で作ったシールは”TATOOシール”と言って,その名のとおり刺青のシールだ.水で濡らして貼ると,プリントした絵が転写されるしくみだ.
はやる気持ちを抑え,ずれないように慎重に位置決め.よし,大きさも角度もいい感じだ.シールの上から濡れたティッシュで水を含ませ貼り付けて行く.これまた慎重に台紙を剥がすと,”Fender”の文字が浮かび上がった.”おぉ〜かっちょええ〜!”.よく見ると微妙に空気が入り込んでいる.手荒に扱うと破れてしまうので,これもティッシュで丁寧に処理.よし,完成だ.第一段階終了!
前述したように,このシールは非常に破れやすい.このままだと,いつか消えてなくなってしまうし,ロゴ剥がしで塗装も剥いでしまったので,クリア塗装し保護することに.ホームセンターで家庭用のスプレーを購入.実はこの塗料にもコダワリがあった.レリックに必要な塗料だったのよ.詳細はあとあと紹介していくね.
とある雪が降る深夜,塗装作業に取り掛かる.ムラにならないようキレイに仕上げるには,薄く何回も吹き付けることが大切だ.というのも,実は愛器MORYも茶色に塗ってた時期があったの(ナウマン@M大初ライブ時のギターは茶色).その時に経験したの.ということで,本題に戻る.
1回目の塗装開始.スプレーは有毒なのでベランダにて作業.なんでこんな日に限って雪が降ってるんや〜!2〜3秒間全体にスプレーし乾かす.チビっとしか塗れてないけどここは我慢.乾くまで30分くらい待って,再度塗装.このような作業を5〜6回繰り返すと,表面に透明なクリア膜が現れてくる.お〜”らしく”なってきた.感じええやないの.でも,それと同時に削った部分がひと際白く見え,元々の部分の色の差が目立ってきた.
う〜ん.・・・むふふ,実は予想していたことなのだ.ここで某メーカーの靴墨登場!というのも,インターネットでaged加工(経年変化)を調べていたときに,”簡単なリペアのわざ(伊東家の食卓的?)”として紹介されてたの.
靴墨のノリを良くするため,細かいサンドペーパーでヘッドを磨く.そしてそいつを塗るとあら不思議,”日焼けしたメイプルっぽさ”が出てくるやないの!おぉ〜.
深みを増すために,再度塗装と磨きを繰り返し.10回以上はやったかな.多少白さは残っているものの,ほとんど違和感がない状態となった.よしOKだ.仕上げのため,サンドペーパーの粗めから極細の順で磨いていき,コンパウンド(歯磨き粉みたいなやつ)で磨く.ひたすら磨く.よし,完成だぁ〜! |
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→写真8
完成後のヘッドとボディーの2ショット.結構うまくできたでしょ?ちなみに写真したの丸いやつが今回使った靴墨.結構重宝しました. |
もうすぐボディーと合体させてあげるよ!次はボディー側の加工だ!
第7章 さて,ボディーをどう料理しようか
ヘッド関係は予想以上のデキとなった.こうなったら欲が出てきた.ボディもかっこよくしよう.前述したように,今回は見た目も重視している.考えていることがあった.【Relic】だ.(ここでようやく真相が明らかになった・・・って,そんな大袈裟なものじゃないか.ははは…)
一応,ギター事情をあまり知らない人のために(J殿?),”Relicとは何ぞや”ってことを簡単に紹介しておこう.
そのまま訳すと”遺物”とか”歴史のある”という意味だ.ギターでいうRelicとは,新品のギターでも”見た目がオールドギターみたい”になるよう,アンチーク化っていうか”ステージなどで弾きこまれたような感じ”を出すため,わざと塗装を剥がしたり汚したものを言うの.Aged加工ともいうみたい.実際Fenderカスタムショップから数十万で市販されてたりする.よく楽器屋などで見かけては,その技術にはびっくりするものの”オールドの偽物”って感じであまりいい印象はなかったの.(ちなみにRelicのほか,NOS(New
Old Stock:新古品という意味で,きれいな状態),Closet Classic(家に置いてたりして,日に焼けたりしているがきれい)がある.う〜ん,あってるかな?まあええわ.なんか店長からツッコミ入れられそう)
前置きはそれくらいにして本題に戻る.
前述したようにボディの”材”は結構良かったが,いかんせん塗装が分厚かった.このままでは材の良さを生かせない可能性があるため,塗装を薄くして鳴りを向上させたい.うむむ…?
さらに加えて,”Relicの技術というものにエンジニ〜ア魂が反応”してしまった.うぉぉぉ….
所詮ダメもとだ.お遊び半分でやってみよう!
(やはりそう来たか…)
ということで,デザイン検討.
部屋を見渡すと”ストラト本”を発見.こいつは,ストラトばかり載ってる本で,オールドの写真もたくさん載っている.参考にすることにした.
いろいろ検討した結果,参考にしたのは写真9右頁のサンバーストの剥げ方です.(写真が小さくてよく見えないけど,お後のお楽しみ?)
よし,紙やすりやスクレイパーを準備.いざ作業開始だ! |

↑写真9
加工前のボディと,参考にしたストラト写真.キレイなボディなので,結構迷いました. |
第8章 よし!塗装をはがすぞ
少しもったいない気がするが,塗装を薄くして音質向上する目的もある.思い切って作業開始!
まずは,ボディー表裏などの”部分的な塗装剥げ”を再現することに.なぜ最初にしたかと言うと,”塗装の厚さの目処付け(全体的に薄くするときの目安?)”のためと,”自然な剥がれを再現(後から全体を処理〜段差を埋めたほうが感じが出る?)”しようと考えたからだ.
記念すべき(?)最初の加工は,エルボー(表面のひじのあたるところ)だ.まずは紙やすりで削ってみる.白い粉がいっぱい出てきたが安心できない.ヘッドのときも分厚い塗装に悩まされたからなぁ.しばらく削り続ける.・・・案の定,塗装は分厚かった.
仕方ない,彫刻刀などで塗装を剥がしてしまおう.(おぉ〜)
今回ボディーに施そうとしている処理は”ぶつかって剥がれたような感じ”で,ヘッドとは要求が異なる.多少段差があったりしても問題ないだろう.逆に”らしく”なるかもしれない.
え〜い,やってしまえ〜!
ボディーは,クリア塗装の下にサンバーストの塗装がしてある.まずは,クリア塗装部分を彫刻刀でチビチビと剥がしていった.塗装は分厚かったが,ドライヤーなどで暖めると比較的簡単にはがすことが出来た.(といっても苦労したけどね.右写真上の状態).
そしてサンバーストの塗装を紙やすりで剥がすと,なんかいい感じになってきた.結構いけそう!
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↑写真10-1
クリア塗装だけを剥がした状態.彫刻刀で,少しずつ塗装を剥がしていった.

↑写真10-2
サンバーストの塗装を紙やすりで落とした状態.お〜,何となく弾きこんだ感じが出てきたではないか….ムフフ |
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調子にのってきた.まずは全体のイメージを掴みたいので,最終仕上げは後回しにして,ある程度できた時点で他の部分も処理していくことに.
次にやったのはボディー裏だ.大概のオールドギターは”ベルトのあたる部分”がかっこよく剥げている場合が多い.ここも同じように処理していく.
う〜んだいぶ感じが出てきた.前述のストラト本のオールドギターを参考に,”ボディー表面のピックのスリキズ”や”ボディーサイドの剥げ”など再現していく.
結構おもしろいのね,レリック作業って.(ヒマやないどぉ〜)
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←写真11
ボディー裏の処理(途中).あとは剥げの境目を自然な感じに仕上げていくだけだ. |
だいぶできてきたところで,さらに欲が出てきた.”クラック入れ”だ.クラックとは細かい塗装のヒビのことで,ラッカー塗装のオールドギターによく見られるヒビだ.つぎはこいつだ!
第9章 キタナイことが美しいのだ!
”剥げ”やら”ヒビ”やら,なんでそんなに汚くするの?と言われそうだが(実際,嫁はんにも言われた),塗装の剥げなんかは”ギタリストの夢:オールドギター”の象徴だしね.ブランド物のコピー商品みたいなもんで,”音”はムリやけど”百戦錬磨の風貌”だけでもマネしたいっていう感じかなぁ.まあ,タダ同然のギターだったからできることやけどね.
−ウンチク−
ということで,本題に入る前にウンチクを.(インターネットでいろいろ調べました)
前述のように”クラック”とは塗装のヒビで,経年劣化の象徴みたいなもんかな.ウェザーチェックとも言われてるみたい.なぜそんなヒビができるかというと,簡単に言えば寒暖の差かな.塗装も木材も大概のものは「寒くなると縮み,暖かくなると膨張」するのは知ってると思うけど(店長は年中,膨張している),例えば木材の膨張度合いの方が大きいと,塗装のほうがパリンとヒビが入ってしまうみたい.最近のギターは”ポリエステル”という柔軟性のある塗料のためヒビは入りにくく,昔は”ラッカー”という硬い(柔軟性のない)塗料が使われてたので入ると言われてる.と言うわけで,オールドにはヒビが入ってることが多いのだ.但し,ヒビ自体は必ずしも音の良さには比例しないみたい.(ラッカー塗装が音が良い(音の振動を妨げない)らしい)
−作業開始−
なんでこんなウンチクを語ったかというと,今回クラックを入れる作業を説明するためなのだ.ようは”寒暖の差を強制的に加えれば,クラックが入る”ということなの.いろいろ調べると,エアダスター(埃飛ばし用の空気の出るスプレー)をひっくり返して吹くととんでもない冷たい液が出て,それで強制的に冷やすとヒビが入るって寸法なのよ.”冷蔵庫に入れる”とかいうのもあるみたい.結構みんなやってるな〜.
今回のギターはポリエステル塗装のため(たぶん),ラッカー塗装を施さないとクラックは入らない.ということで,ラッカースプレー(クリア塗料)を準備し上塗りを開始.(第6章ヘッド部分作成部分で紹介した”レリックに必要な塗料”とは実はラッカーなの)
−実は・・・−
結論から言うと,この方法は失敗したので簡単に説明しておきます.ヘッドと同様に薄く何回も塗り重ね仕上げたものの(写真12参照),冷却させてもヒビが入らなかったの.ガガ〜ン!(ギターにはニトロセルロースというラッカー塗料が使われているらしいが,市販のスプレーにはノリをよくするため,いろんなものが含有されているみたい.それが原因?)
しかし,不幸中の幸いで,おおもとの塗装にはヒビが入ったの.???ラッカーじゃないのに何故かなと思ったが,どうも鳴りを良くするため”ボディー全体の塗装を薄くすべく削っていた”のが幸いし,塗装に十分な柔軟性がなくなる〜ヒビが入ったのかなと推定.まあいずれにせよ,結果よければすべてよしということで,せっかく塗装した部分を剥がすことに.(涙)
かなり空しかったが,ただでは転ばんぞ!極限まで塗装を薄くしてやる!剥がした部分(肘の当たるところなど,木の地がでている所)から塗装の厚さを推定し,慎重に全体を研磨していった.
結果的にこれが音質向上に役立つとは,このときはわからなかった.
−再チャレンジ−
ようやく剥がし完了.試行錯誤の連続で,遠回り&苦労はしたものの,なんとか目処がついてきた.塗り重ねた塗装を剥がした後(涙),早速ヒビ入れ作業に!
早速冷却スプレー照射!液体が噴出〜ボディにかかったと瞬間に,凍って霜状に.それと同時に”カツン”という音が(ピキッという音ではないよ).これが塗装の割れる音だ.霜を取り除いて見ると,”おぉ〜,見事にクラックが入っている!”
調子にのって,ボディ全体に施す.おもしろいくらいに幾何学模様のクラックが入る.しかも,光の加減で見えたり見えなかったりして,主張しすぎずなかなかよろしい.(ハタから見たらアブナイ人に見えそう)
ということで,紆余曲折があったが何とかクラック入れ作業は終了!ボディ関係はひとまず完だ.長かったし疲れたな〜.
次回は,ピックアップなどの電装部品を改良だ!
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↑写真12
ボディをラッカー塗装〜研磨中の写真.
こんなに苦労したのに・・・(涙)


↑写真13
完成後の様子.
ボディに見える”白いスジ”がクラック.
なんか”らしく”なってきた.かな? |
第10章 電気配線系の改良
ひととおりボディなどの大物に目処が付いた.後は音質を決める配線系の改良だ.
前述のように,オリジナル状態は”豆電球の線”みたいな細い線で結線してあり(右写真参照),とてもエレキの配線とは思えないものだった.まずはこれらを改良すれば,出音が良くなるかもしれない.これについてもアイデアがあったので,早速実践してみることに.
そのアイデアとは,「古くなったシールドの芯線を使う」ことだ.ちなみに,シールドは”信号を伝える芯線”と”アース用の網線”で出来ている.ということは,シールドをムキムキして芯線を取り出せば,ギターの配線に使えるっていう寸法なの.たぶん,シールドに使うくらいだから音質は大丈夫だろうし,接触不良のシールドが再利用できるしね.
ネットなどで調べると,マニアな人たちは”オールドの配線(高いぃ〜)”などを使ったりして,出音をチューニングしているみたい.(PUを換えるより効果があるっていう人もいるみたい)
ナウギタはそこまでマニアでないし,安く仕上げたいのでシールドでチャレンジだ!(別の意味でオールド(中古)!(笑)) |

↑写真14
オリジナルの配線.まるで電気工作みたい.なんか
センターPUあたりで絡まっているぞぉ〜!
オ〜マイガ〜! |
ということで,下記写真のように作業を進めました.(ヒ…ヒマやないどぉ〜!) |
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↑写真15-1
シールドを分解〜中の芯線ムキムキ中 |
↑写真15-2
PUの細〜い線を外して,芯線を接続する作業中. |
↑写真15-3
こんな感じになりました.線が太くなっている? |
↑写真15-4
線をキレイに束ねて準備完了.あとは出音チェックだ! |
ふぅ〜っ.1時間弱かかったけど,無事完成したぞ!弦を張り,早速音出しだぁ〜!
キュィーン,チャラララ・・・.あれ?いまいちだなぁ〜.あまり配線の影響はないのかな.やっぱPU自身がショボイのかなぁ〜,”変な磁石”みたいなもんがついてるし(写真15-2参照).
いろいろ試してみたが,やはり音の入り口(PU)が原因みたいだ.こればかりは自作できない.ここであきらめてしまうのはいやだし,また質屋ツアーでもして探してみるしかないかぁ.ナウギタの頭には,ある作戦が浮かんでいた.
《続く》