正月休みに小川洋子『ミーナの行進』を読んだ。思春期の二人の少女と、それを取り巻く人々とカバの様子がていねいに描かれている物語り。
重要な役割で登場するのが、コビトカバのポチ子。大邸宅の庭にペットとして飼われていて、病弱なミーナを背中に乗せて毎日登校している。「確かに凶暴な気配は感じられなかった。でっぷりとしたおしりの丸みには愛嬌があり、中途半端に前後にずらせた後ろ脚は、本当に役に立つのかと思うほど短く、間が抜けていた」などという
カバについての描写が出てきて、うれしくなってしまった。小川洋子さんは、どこでカバを観察されたのだろうか、カバファンであるのは間違いないが、家にカバグッズはあるのだろうか、などと考えてしまった。
装幀と挿絵は、寺田順三さん。カバのうしろ姿がかわいい。カバーを取ったら、カバだらけの表紙が出てきて、びっくりした。
(2007.1.28)
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◇小川洋子『ミーナの行進』(2006、中央公論社) |
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