◎長野県在住の彫刻家・山田実穂作。32×27p。パステルと水彩。四日市市での個展会場。 |
「洞窟を走るカバ」というタイトル。特に前足が、必死で走っているような様子で、一目で気に入ってしまった。「彫刻だと動きが描けないので、初めて絵にしてみました」「カバは走ると速いんです」と。 作者は、テラコッタのカバばかり作っていて、各地で展覧会を開いている20代の女性彫刻家。目が輝いていた。名刺の肩書きには「カバ製造業」とあるが、最近、カメも作り出したとのこと。カバの絵のTシャツを着た女性客から、〈カバを身につけたりはしないか〉と聞かれると、笑顔で「私はいつも作っているので身につけません」と。それを聞いていたコレクターの私は、作家にちょっぴり嫉妬した。作家の心の中にはカバが住んでいるのだろう。コレクターは、心の中にカバがいないから、集めるのだろうか。 |
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